非薬物療法

患者教育

 鎮痛薬の内服方法や頭痛発作時の対処法,自己管理(適度な運動,食事,適切な睡眠),片頭痛誘因の回避などがある.米国ガイドラインでも,片頭痛誘発因子(ネガティブな感情状態,運動不足や睡眠不足,肥満など)を是正するための行動やライフスタイルへの介入が概説されている,小児片頭痛患児(4〜17 歳)を対象として,患者教育(良好な睡眠衛生,適切な食生活など)の有効性を検討し,6 歳未満のほうが効果的であったとされている.また,思春期の片頭痛と緊張型頭痛が併存している患児に対し,60 分間のレッスン(身体不活動,コーヒー摂取などの危険因子の回避,ストレス管理および首と肩の筋肉のリラクゼーションの指導)が有用との報告もある.しかしながら,有効性を示す十分なエビデンスはなく,小児の患者教育に関する報告は限られているのが現状である

 片頭痛の誘因にはストレス,睡眠,精神的緊張,疲労,天候変化,月経周期,食品などさまざまなものがある.特にストレスや睡眠不足と片頭痛に関するエビデンスは積み重ねられつつある。一方で,食生活に関連する片頭痛の誘因のエビデンスは限られており,特定の食品を無作為に制限するのではなく,バランスのとれた食事をし,食事を抜かないように指導するべきであろう.すべての誘因を制限することがストレスとなり,片頭痛発症の閾値を低させてしまう恐れもあるため,過度な制限は不要と考えられている。環境調整(家庭,学校など)を含めた心理的サポートによりストレスを軽減し,睡眠や食事を管理することが小児片頭痛の予防に繋がる。

心理療法

認知行動療法のエビデンスレベルは高いとされて当院では希望者には心理カウンセリングを行っている。

代替薬

リボフラビン(ビタミンB2),マグネシウム,コエンザイムQ10,メラトニンなどがある.なかでもリボフラビンは比較的エビデンスレベルが高く,少量(10 もしくは40 mg)でも有用であり,特に緊張型頭痛などの併存頭痛のない患児に有効である。